【１】左利き用のウクレレは販売されているのか？

一般市場において左利き用のウクレレは販売されていません。
ギターの場合、左利き用のものが販売されていますが
ギターでもあまり数が多いわけではありません。

アコースティックギターの場合ですとピックガードが左右逆になります。
エレキギターの場合ですとボリューム・トーンスイッチが逆になります。

右利きのギターをそのままチューニングを変えずに
器用に弾きこなす人もいますね。
松崎しげる氏はそのような弾き方をしています。
見ているだけで頭がこんがらがりそうになります。

そのままのチューニングで弾く場合、
ストロークが通常とは逆にしなければならなくなりますから、
通常のストロークとは真反対の動作をしなければいけません。

そこで普通は弦もチューニングもひっくり返して行います。

【２】弦を張り替えればそれで良いのか？

簡単に弦の張り替えは可能です。
ウクレレの場合、左右対称の構造をしていますから
弦を上下逆に張り替えれば左利き用として使用できます。

ウクレレの中にはカッタウェイといって
ハイポジションが弾きやすくなっている構造の物がありますが、
これは左利き用を想定していないので諦めるしかないです。

【３】弦を張り替えしただけで問題ないのか？

正直言えば、問題が起こりやすくなります。
ウクレレのナットは1弦の溝が最も狭く、２弦・３弦へと広くなり、
４弦がまた1弦と同じくらい狭くなっています。

弦の太さが違うわけですから
弦を支えるナットの溝も弦に合わせて幅が違います。

もろに影響が出るのが最も低い弦である３弦です。
逆に弦を張るわけですから溝の幅と弦の太さがマッチせず
細い溝に太い弦を張る状態になります。
結果的に溝の上に弦を乗せるような使い方になるため
弦高が高くなり、チューニングがあわなくなります。

また、２弦は細いのに、溝は太くなるため
ナットの溝に対して余るためビビリが起きやすくなります。

【４】ナットを左利き用にすれば良いのか？

左利き用のナットに交換すればこの問題は解決します。
しかし、左利き用のナットが市販されているわけではありません。
そもそも、ウクレレのナットはメーカー・品番ごとに違い
規格化されていませんからウクレレのナットそのものが販売されていません。

ナット用の原材料を購入して作ることになります。
この作業は非常にシビアで手間暇がかかり、
専用工具も必要なので個人レベルではとても作ることが出来ません。

【５】他には問題ないのか？

残念ながらもう一つ問題が発生します。
ウクレレにはブリッジという部品があります。
ボディー側の台座のことです。
さらにこの上にサドルという弦が直接乗るパーツがあります。
ウクレレによってはこのサドルは
ただの一本の棒状の物になっていますが、
少し気の利いたウクレレですとこのサドルも弦に合わせて
シビアな調整が行われています。

つまり、ウクレレによってはこのサドルもオリジナルで作らなければ
チューニングがあわない（ピッチがあわない）状態になってしまいます。
0フレットでチューニングがあっていても実際に弾くと音が合わない状態です。
こうなってしまうと弾いていて気持ちが悪く弾けたもんじゃありません。

サドルもナットと同じように市販されていませんから
原材料から作るしかありません。

【６】どうするのが良いのか？

Ａ案

自分が好きなウクレレを選び、専門店で左利き用にナットとサドルを
改造してもらう。

費用／ナット6,000円～・サドル6,000円～・弦交換1,500円～（弦代含む）

Ｂ案

ナット・サドルの溝幅を気にしなくても良いモデルを選ぶ。

コアロハ（ハワイブランド）はナットの溝が谷状になっているため
弦を左右張り替えしても影響がありません。
またサドルはシンプルな棒状になっているためピッチのズレがありません。

ただし、コアロハのウクレレは高額になります。
廉価版モデルでも７万円以上します。

Ｃ案

イチかバチか！？そのままの状態で弦を張り替えしてみる。

弦を左右逆で張り替えしてもビビリが出ないこともあります。
しかしながらこれは誰も実証しているわけではありませんから、
自己責任で行うしかありません。
左利きのかたが実際にやってみてどういう結果になったか？
というのがわかればよいのですが、その情報はわかりません。

ネットでは弦を逆に張れば使えるよ～！と軽く書いてありますが
イチかバチか？というのは間違いありません。

【７】ウクレレ専門店として

国産のウクレレで左利き用のものは見たことがありません。
つまり、右利き・左利きを想定していないのだと思います。

しかし、日本に比べて外国には左利きの人が多いので
外国のメーカーなら・・・ということで
当店の仕入ルートで調べてみると
左利き用のウクレレが数少ないのですが見つけました。

他メーカーのウクレレのように選択肢はありませんが、
左利き用に作られているので悩むことはないと思います。

2019年10月現在、ソプラノは在庫終了。
コンサートのみ1本在庫があります。